なつかしの特撮ヒーロー・ウルトラセブンの肖像や怪獣・宇宙人・ストーリーまで
ウルトラセブン Classic World
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 ウルトラセブン解析
ウルトラセブン ストーリー紹介
第1話「姿なき挑戦者」


[ストーリー] 謎の人間消失事件が相次ぎ、捜査に乗り出した防衛隊員にも犠牲者が出たため、地球防衛軍およびウルトラ警備隊は事件解明に向けて出動する。消失現場に向かったソガとフルハシは謎の青年に呼び止められ「ここから先へ行ってはならない」との進言を受ける。一笑に付した2人だったが、警官が目の前で何者かの攻撃を受ける。その頃、防衛軍のモニターを通して奇怪な宇宙人クール星人が、地球人への全面降伏を迫っている。クール星人は透明な円盤で地球に総攻撃を仕掛けてくる。地球の運命は?そして謎の青年の正体は?


ウルトラセブン ポイント寸評

 記念すべき第1話。その冒頭のナレーション


「地球は狙われている・・・。今、宇宙にただよう幾千の星から、恐るべき侵略の魔の手が・・・」


そうです、地球は狙われているのです。メッセージに集約されるように、前作「ウルトラマン」とやや異質な設定である。「ウルトラマン」がどちらかというと、地殻変動や放射能汚染など、「自然現象」としての怪獣出現に対しての戦いを主テーマとしているのに対し、この「ウルトラセブン」では宇宙人の存在を前提とした「狙われる地球」を扱った物語のようです。


夜の検問の様子。警察官に免許証、車検証の提示を求められたドライバーが応えた瞬間、警官の目の前で閃光とともにそのドライバーは消失した・・・。「ウルトラQ」の「2020年の挑戦」で見られたような衝撃のシーンが第1話の冒頭で早くも登場。いきなり鮮烈な画像でテレビの前の視聴者を身構えさせます。


「あああぁっ!!!」驚く警察官。「どうしたんだ?」近寄る同僚。「人間が、消えたんだ」あまりにもシンプルな答え。しっかりと、冷静に主語を入れています。


続いてナレーションが地球防衛軍の秘密基地の紹介。富士山を背景にした壮大なスケール。なにせ山が可動式になっていて、中から戦闘機ウルトラホークが飛び出すというのですから、この当時としてはまさに空想の世界そのものだったでしょうね。このシーンを見ただけでも胸をときめかせた少年も多かったのではないでしょうか。


さらに防衛軍内の主役・ウルトラ警備隊の隊員紹介を終えて本題に・・・。防衛本部では参謀たちがズラリ!その中には「ウルトラQ」の万城目淳の姿が・・・。それにしてもこの方、なぜしゃべるときに首をかしげるの??


参謀たちの間ではこの時点で、謎の人間消失事件について、その不可解な現象からして「宇宙人の仕業」と仮定しているようです。こんなことは宇宙人でなければできないという発言も!その報告を聞いたキリヤマ隊長は「えっ!宇宙人?」と大いに驚いています。地球防衛軍の要職にいる方が宇宙人の存在を信じていなかった、というような口ぶりです。どうやら地球防衛軍は発足したばかりで、まだ宇宙人との戦いがなかったということでしょうか。そこでまあ、「防衛軍のエース」と称してウルトラ警備隊に骨を折ってもらうことになるわけですが、長官の口ぶりからして、単なる「防衛軍の使い走り」にしか見えないのですが・・・。


緊急事態ということで隊員に指示を出す隊長。ウルトラ警備隊の専用車ポインターで出動するソガ、フルハシ。そして隊長と一緒に基地内で敵の行動を監視せよとの指示に忠実に従うアマギ、アンヌ。どう考えても3人で1箇所のレーダーを監視するのは不自然に思うのだが・・・。


消失現場に到着するソガとフルハシを迎える黄色いジャンパーの青年。ポインターを制してからのやりとりは見所のひとつです。ここで初めて主人公モロボシ・ダンの登場となります。「風来坊」と呼ばれるなど、ダンは結構子供扱いされています。逆にそのダンに軽くあしらわれるソガ、フルハシも結構お間抜けに見えてしまいます。「命が惜しくてウルトラ警備隊の任務が勤まるか」などという強気なセリフも飛び出してはいますが・・・。


この中で、敵の攻撃の意図を切々と語るダンに対し「君はいったい何者だ?」と問うフルハシ。まったくズバリ、な指摘です。宇宙人の侵略の動機など、なぜ一青年が知っているのか、そう、ダンこそが宇宙人と疑われてもおかしくない状況です。しかも負傷したソガ、フルハシの代わりにポインターの運転までさせてしまう。こんな事態が知れたらそれこそ始末書ものだと思うのですが(笑)。


それから、ウルトラ警備隊員は全員腕時計型のビデオシーバーを携帯しています。ちょうど小型のテレビ電話のごときものを純粋にカッコイイと思ったものでしたが、基地に映し出される画像では、それに向かって連絡をとるソガ隊員の姿が・・・おそらくああいう状況では話すソガ隊員の姿を正面からとらえるものだと思うのですが、何と遠距離から斜めにとらえています。しかも走るポインターを追いかけながら。かなり腕のいいカメラマンが車で追いかけながらそれを操っているものと思われます(笑)。


基地内のモニターにクール星人の姿が映し出され、地球への挑戦状をたたきつける。ダンの指摘通り、人間標本を集めているのだという。ここで有名なセリフ、「人類なんて我々から見れば昆虫のようなものだ。」衝撃の発言。まるで価値観が180度転換されるような言葉を、よりによって、あんたに言われようとは・・・。ショック!!


ここではもうひとつショッキングなことが!宇宙人が地球に存在する器具を使って地球人と交信をしているということ。そして、その言語は地球の、それも日本語だ!「ウルトラマン」では、宇宙人が言葉を交わすときは地球人の脳髄を借りたり、電子頭脳を使ったりと、なかなか芸が細かかったのだが、「ウルトラセブン」ではもうどうでもよくなってしまったのでしょうか。


消失し捕虜となった人たちの映像を見せつけて降伏を迫るクール星人。悪辣な手口は地球の犯罪者のようだ。それに対する長官の一言、「断る!」素晴らしい決断力に拍手!そりゃあいくら緊急を要する場面だからといって、大勢の捕虜もいるという状況下で地球の運命を、たった一人の判断で決めてしまうなんて・・・。


基地内では見えない円盤に対する作戦会議。なぜかそこには風来坊のダンの姿が。そしてこともあろうにアンヌは、思いついたようにダンに尋ねる。そのセリフ「ダン、あなたの地球がピンチにたたされているのよ。何か敵を倒す方法はないの?」


「あなたの」とはまるでダンが宇宙人であることを知ったうえでわざと嫌味っぽく言ったかのよう。また、初対面の青年に呼び捨て・・・それもファーストネームで。この辺からすでにダンとアンヌの物語は始まっているのでしょうか。そもそも作品中、隊員でこの2人だけが下の名前で呼ばれているのです。しかも隊長や参謀たちからも。


ところで、その風来坊であるダンが提案した作戦は、長官に進言され実行にまでこぎつける「大出世」。でもよく考えると少しおかしい。円盤内に人質がいるから攻撃できないと言っていたはずなのに・・・。さらに不思議というか驚きなのは、ダンが基地内の事情や宇宙人のことまで理解しているというところだ。ウルトラ警備隊員の名前も知っていれば宇宙人の攻撃目的や数年前からの動きなども知り尽くし、作戦実行にとりかかる防衛軍の能力まで知っている(「科学班の協力があれば、すぐです」というくだり)のです。これをスパイと呼ばずして何と呼びましょうか(笑)。恒点観測員という役職にあるウルトラセブンがその正体であることを思えば何でもないことなのだが、隊員や防衛軍の誰もが彼を疑おうとしない。それどころか、隊員にまで昇進してしまうのだから、驚きを通り越して笑えてしまいます。あまりに唐突すぎるし、いかに能力を買われたとはいえ、どうやらウルトラ警備隊では入隊のための身体検査だとか、身元調査をしていないとみられます。


それはそうと、今回登場する宇宙人・クール星人はこれまでになかった特異な造形。湯たんぽにタコの足と毒針をつけたような・・・(笑)。地球人と明らかに違った異星人という点では興味を引きます。なかなか横柄な態度で、はっきりとモノを言う悪辣な宇宙人でしたが、いざウルトラセブンと対峙したときのあの弱さ!!えっ、終わり?というほどのあっけなさで何とも早い決着。残念ながら体力では敵ではないようです。


それからこのシリーズのもうひとつの楽しみ、「カプセル怪獣」の存在があります。いきなり今回第1弾としてウィンダムが登場します。見た目は結構カッコイイのですがあまり強くはなさそう。そこがまあ、ご愛嬌なのですが。でもこの回についてはなぜ登場する必要があったのかという感じでしたが・・・。


感想としてはこれだけの内容を1話にまとめることには大いに無理があったのでは、という印象です。隊員紹介や警備隊・防衛軍の組織や基地・秘密兵器など、もう少し詳しく掘り下げておくべきではなかったかな、と感じますし、ダンやウルトラセブンのことも、説明不足の感は否めません。カプセル怪獣まで登場させて、何もかもが中途半端に扱われたために、ラストの唐突感を如実に露呈させ、宇宙人との戦闘シーンもあっけなくさせられた、という気がします。シリーズ全体の重みを考えたらこの第1話は慎重に考えて作成するべきだったのでは、と思いました。まあ、見方を変えれば中身の濃い第1話でもあったわけですが・・・。



侵略者

クール星人(宇宙ハンター)

侵略目的

実験用の人間標本の収集

侵略方法

透明円盤で総攻撃 人質を使い降伏を迫る

侵略アイテム

透明円盤、人間を標本化

防衛軍の対策

特殊噴霧装置で視覚化


ウルトラセブン選集



「ウルトラセブン」第1話に早くも登場するカプセル怪獣第1弾のウィンダム。この回を含めのべ3回登場し、セブンのフォローをします。