なつかしの特撮ヒーロー・ウルトラセブンの肖像や怪獣・宇宙人・ストーリーまで
ウルトラセブン Classic World
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 ウルトラセブン解析
ウルトラセブン ストーリー紹介
第8話「狙われた街」


[ストーリー] 暴走するタクシー、旅客機の墜落、さらに街中で白昼ライフルを乱射する男・・・。平和な街に突如、原因不明の狂気の事件が相次ぐ。ダンもポインターを運転中、ダンプカーで何者かに邪魔をされる。基地ではタバコを吸っていたフルハシとソガが相次いで異常な行動を取って騒然とする。タバコが怪しいと見たダンとアンヌは、購入した駅前の自動販売機の張り込みを開始する。やがて現れた不審な車を尾行したダンが見たものは・・・。



ウルトラセブン ポイント寸評

今回もまた冒頭からただならぬ様相、走行中の車から女性の悲鳴が・・・。車はタクシーで、突如暴走したようだ。パトカーの追跡もあって命からがら脱出した女性に対し、なおも暴力をふるう運転手。一体、何が起きた!警官が取り押さえると、運転手はがっくりと意識を失うように静かになった。特捜警察ものか・・・?そこへポインター到着。さすがのタイミング、と思いきや何とアンヌがいとこのヒロシ少年を迎えにきただけであった。あれっ、おーい事件は・・・。


一転して次はアンヌの叔父、ヒロシ少年の父の葬儀の場面。叔父は旅客機のパイロットであったが、突如操縦する旅客機が墜落して帰らぬ人となったというのだ。葬儀では親族などが泣き崩れる場面などを映していますが、よく考えてみたら、旅客機墜落なんていったら大惨事ですよね。犠牲者130人なんていっています。当分の間は現場検証や乗客の安否に関する情報収集などで、機長の葬儀どころではないと思うのですが・・・。弔問客の話からも最近の事件や事故の話が飛び交う、何だかおかしな光景。異常なまでの頻発・・・一体今度は何が起きた。また、今回の監督は鬼才と呼ばれる実相寺昭雄氏。「ウルトラマン」でもフジ隊員の喪服姿を披露させましたが、またしても・・・どうやらこういう趣味がおありのようです(笑)。画面も曇り空や照明を落とした暗い場面が多いです。ちょうど「怪奇大作戦」の京都編のようです。しかし、その独自の画面に何か引き込まれるものがあります。


事件はさらに・・・フルハシとソガがタバコを買っていると、何やら銃声が。駆けつけると、そこには無差別にライフルを乱射する男が・・・。フルハシは負傷するが、ここは名手ソガ隊員の腕前で犯人から銃を奪う。犯人にケガをさせずライフルを狙って撃っている、鮮やかなものです。犯人は逮捕されて少しすると突如気が抜けたようにおとなしくなる。


この話は、今では放送できないような、差別的な表現が出てきます。テレビで再放送をするとしたらおそらく部分的な音声消去が行われることと思います。設定上致し方ないとはいえ、今ならこういう設定自体に疑義が生じるのではないでしょうか。


相次ぐ事件の犯人や当事者に北川町の住人が多く登場していることに目をつけるダン。先ほどのライフル魔の取り調べに聴き入るダン。人が変わったようにおとなしく尋問に答える犯人は、自分の行動を覚えていないという。それどころか、自分のした行為を「そんな恐ろしい」と答える始末。尋問する刑事は「積木くずし」の穂積隆信さんです。典型的な、いわゆる取調べ、です。新聞やタバコをどこで買ったなんて、通常ならまったく関係がないと思うのですが・・・。


画面は切り替わり、ダンが運転するポインターを強引に追い越すダンプカー。しかも目の前でいきなり、積んでいた砂利をおろし始める。まるで、スピルバーグの「激突!」のような光景。もちろん、それ以前の作品です。たまらずに車を降りるダン。ダンプカーは無人だった・・・。そこへ何者かによる声の忠告「北川町に近寄るな」とのこと。ここでもダンの正体を知られている。さっすが有名人。


しかも君を倒すことは問題ではない、などとぬかしています。宇宙人同士争うのは愚かだとも・・・これはメフィラス星人の手口ですね。

基地では負傷癒えたフルハシがタバコを一服。みるみる顔が赤くなっていくフルハシ。獲物を狙う獣のようなまなざし。突然、自慢の怪力で暴れだす。せっかくコーヒーを入れてくれたダンの肩を強打。止めに入る防衛隊員が束になってもかなわず、(このとき、どさくさまぎれに「ソガ隊員」と呼んでいる人がいる)何とか押さえつけたところでキリヤマ隊長の手拳が一発!アマギは棒でせこく2発!・・・と思うと急に気を失ったようにおとなしくなる。一難さってまた・・・今度はソガがタバコに火をつけるとやはり顔が赤く・・・何でもこの頃は約半分の人がタバコを吸っていたそうです。ましてや喫煙マナーなどお構いなし、「禁煙」なんて書かれたステッカーなどほとんどなかったのではないでしょうか。キリヤマ隊長のとどめの一言が・・・今では絶対に言えない。


タバコを分析した科学班は、これを宇宙ケシの実に似たものであると判断。すごい解析力ですね。さすがは初対面のダンにも知られていた、ウルトラ警備隊の科学班。これに侵されると周りが敵に見えてくるという、恐ろしい物なのだそうです。


よくこういうドラマでは子供が大きな活躍というか、貢献をする場合があります。このお話でもヒロシ少年のいとけない発言が大きなヒントとしてお手柄を得ます。


張り込みをするダンとアンヌ。某駅前の喫茶店、アンヌの横顔のドアップが話題になっています。自販機にタバコを納品する車を発見し尾行する。古びたアパートに車は着き、ダンはアンヌを外に残したまま侵入。「一人で大丈夫なの?」と心配するアンヌの方が危険な気もするのですが・・・。メトロン星人とのちゃぶ台会談はあまりにも有名。何と言っても宇宙人があぐらをかいて座っているのですから。その中でメトロン星人の言葉「怖いのはウルトラセブン、君だけだ」と、ウルトラ警備隊など眼中にないことを告白。子供でも容易に理解できながら、決して誰も言ってこなかったセリフ・・・よくも言ってくれました(笑)。このメトロン星人、あまりはっきりと姿を現しません。暗かったり、夕焼けをバックにしていたり・・・そのあたりが人気の秘密なのでしょうが、これも実相寺ワールドなのですね。


それとダンがいる可能性のある宇宙船をまたしてもホークは攻撃。実相寺監督得意の夕陽の決闘で幕を閉じます。ラストのナレーションも実に風刺が効いています。「ウルトラセブン」の中でも殊玉の一編といえる名作でしょう。


侵略者

  メトロン星人(幻覚宇宙人)

侵略目的

  不明 人間関係の美しさに惹かれた?

侵略方法

  地球人の信頼関係を破壊させて自滅を企てる

侵略アイテム

  タバコに入れた結晶体 町工場の中のお茶の間セット

防衛軍の対策

  特にないが、町民にタバコを服用しないよう呼びかけ


ウルトラセブン選集



「ウルトラセブン」屈指の名作に登場するメトロン星人とダンとの「ちゃぶ台」対談はあまりにも有名です。