なつかしの特撮ヒーロー・ウルトラセブンの肖像や怪獣・宇宙人・ストーリーまで
ウルトラセブン Classic World
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 ウルトラセブン解析
ウルトラセブン ストーリー紹介
第6話「ダーク・ゾーン」


[ストーリー] アンヌの部屋に謎の黒い影がうごめいている。影の中から何者かの声がするので交流を試みるが、宇宙からやってきたが瀕死の重傷を負っているので少しの間休ませてほしいという。その頃基地内には宇宙空間都市ペガッサから、「動力系統が故障し地球と衝突してしまうので、地球の軌道を変えてほしい」という連絡が入る。ペガッサ市は強大な文明力を誇る巨大都市で、地球の8万倍の大きさだという。防衛軍はペガッサ市の破壊を、ダンはペガッサ市民の地球への誘導を試みる。地球の運命は、怪しい影の正体は・・・。



ウルトラセブン ポイント寸評

パトロールを終えて帰ってくるダンとアマギ。どうやらまた子供のガセネタに振り回されたようです。ホーク2号ではるばる宇宙まで、地球防衛軍って一体どこからお金が出ているんだろう・・・。今だったら議論の的となること疑いなしですね(笑)。


アンヌの部屋に怪しい黒い影が・・・。ちょっと待って、防衛軍基地には隊員の部屋もあるのですね。もっとも日夜常駐する必要があるわけですから。しかし、驚いたアンヌは次の瞬間、隊長でも防衛軍本部でもなく、自室にダンを呼ぶ。もう、そこまでの関係か・・・(笑)。影はいったんは姿を消し、ダンにおでこをつつかれ「弱虫さん」攻撃をくらうアンヌ。すぐにまた出現する影。宇宙から来たというその影にダンは銃口を向けるが、瀕死の重傷を負っていると聞くと銃をしまう。この影、姿もわからないのに2人はやけに親切だ。地球人が怖い、などというとすっかり仲間のように語り合う。以下、影語録の一部です。


「へりくだるなよ。地球人だって立派な宇宙人じゃないか」


「こんな大きな宇宙の中に、地球と私たちの町が一緒に生きることの出来る場所がないなんて、なんという悲しいことだろう」どきっとするセリフ。ダンがとっさに切り返すと話をそらす影。


アンヌも負けじと「工場は?学校は?」に始まり「映画は?音楽は?」などとしつこい尋問が・・・。影もまた自分たちの科学力を自慢げに語る。そこで影は自分たちが水や空気も作り出すということについて「驚いちゃいけない!」と、「普通ではない」ことを強調している・・・あれっ?後の発言と矛盾してる。


造花を見た影が「君たちの科学もどうやら、私たちの都市にだいぶ近づいてきたようだなあ」の発言になぜか爆笑する3人。それも延々と・・・笑い過ぎっ!!(笑)そんなとき本部から呼び出しが・・・。それは宇宙空間都市ペガッサからの無線連絡で、何でも動力系統が故障したため「地球の軌道を変えてほしい」とのこと。参謀以下隊員が揃った作戦室ににわかに緊張が走った。


ダンは先ほどのアンヌの部屋の影のところへ。この影こそがペガッサ星人だろうと尋ねるが、否定する影。ただ、ペガッサ市が見た目より8万倍の大きさであることを知って驚くダンに、軌道を変えてやればいい」と冷静に返す影。しかしそれができないことを知ると今度は影の方が語気を荒げる。「地球から見ればけしつぶほどの大きさ」なのに物質密度は地球の8万倍?私にはよくわかりません。


さっきは水や空気を作る科学力を自慢げに語っていたのに、今度は地球が軌道を変えられないということに憤る影。軌道を変えることの方が大変な気もするのですが・・・。


ペガッサ市への交信ができず、焦燥の防衛軍ではすでにペガッサ市の破壊を検討中。ダンはその前に市民を地球へ迎え入れてあげましょうとマナベ参謀に提案するが問答無用とばかりにあっさりと拒否。第1話に続くむなしい扱い、今回は隊員としての提案なのに・・・。ところが、爆破のためホーク1号でペガッサ市へ向かう途中、爆破中止命令が・・・。新爆弾を搭載した宇宙爆撃艇がその任務を代行するのだが、ホークは市民を迎え入れる役割を命ぜられ、ダンは子供のように「わあああっ!!」と喜ぶ。宇宙人として、恒点観測員という立場として、全宇宙の平和を誰よりも強く願うダンならではの気持ちが如実に現れることとなりました。考えてみればウルトラセブンには地球を守る動機なんてなかったのですよね。前作「ウルトラマン」では、科学特捜隊員のハヤタの命を奪ってしまったという負い目があったのですが。


しかし、どうしてもこちらからはペガッサ市へ交信ができない。そもそも地球人が宇宙人の技術を普通に使おうという発想が甘過ぎますよね(笑)。あまりにも無計画で無謀な作戦でした。結局ペガッサは破壊することに・・・。ダンの何とも悲しそうな表情。

アンヌの部屋では例の影がとうとう自分の正体と狙いを打ち明ける。でもなぜアンヌの部屋に来たの?宇宙人にとっては防衛軍の機密事項やダンの正体、ホークの操作方法などがわかっていることは既に証明されていましたが、隊員の人間模様まで知り抜いているとは・・・恐るべし(笑)。


ラストのセブンとペガッサ星人の対話には少々考えさせられてしまいますね。宇宙との距離が近づくとこういう問題まで起こるのか、と。自分たちの身を守るためにはお互いやむを得ない措置をとらざるを得ないことも致し方ないのです。


この回は宇宙人を野放しにして終わっていますね。「復讐してやる!」とまで語っていた危険な存在だったのに。まあ、それほど脅威の戦闘能力を持っているものでもないと判断されてしまったのでしょうが、どこかに潜伏しているという含みを残したエンディングはどうも気持ち悪い・・・。


総括してこのお話は、地球人と宇宙人がきわめてプライベートな空間で親身に語り合ったということで画期的な意味を持っています。しかも心優しいアンヌとダンはその宇宙人を「臆病な、弱い」ものとしてかばっています。そういえばこのペガッサ星人のスチール写真といえば、アンヌ部屋で背後から襲い掛かるような写真が有名ですが、作品中にはそんな場面は登場しません。むしろイメージとはまったく逆で、ようやく姿を現したと思ったらさっさと部屋を出て行ってしまいます。部屋での語り、無線での交信など、異星間の友好関係の可能性を示した一編でした。


侵略者(むしろ緊急避難)

  ペガッサ星人(放浪宇宙人)

侵略目的

  アクシデントにより自らの都市を守るため

侵略方法

  軌道修正を要求 地球の核に爆弾を埋め込んで破壊

侵略アイテム

  爆弾

防衛軍の対策

  市民への避難呼びかけ ペガッサ市の破壊


ウルトラセブン選集



寂しく姿を消していった哀愁ただようペガッサ星人の容姿は「ウルトラセブン」においてスチール写真など、結構怖いものがありました。