なつかしの特撮ヒーロー・ウルトラセブンの肖像や怪獣・宇宙人・ストーリーまで
ウルトラセブン Classic World
ウルトラセブンClassic World


 ウルトラセブン解析
ウルトラセブン ストーリー紹介
第2話「緑の恐怖」


[ストーリー] 宇宙ステーションV3での勤務から休暇のために帰還したイシグロ隊員を出迎えるウルトラ警備隊の面々。自宅に帰ると、その庭に謎の大きな鉱石が・・・。そんな中、町では夜な夜な奇怪な生物による襲撃事件が頻発する。不思議なことに、襲われた人はことごとくその生物と同じ姿に変身してしまう。住民の夜間外出禁止令が出る中、イシグロ夫人は、夫の不審な行動に恐怖心が芽生えてくる。


ウルトラセブン ポイント寸評
第2話はある意味でこのシリーズの象徴ともいえる、何ともミステリアスな展開。タイトルからして「恐怖」とあるのでそれなりに覚悟はしていたのだが。冒頭いきなり青白い物体がイシグロ隊員宅の庭に落ちてくる。巨大な鉱石だ。ここでイシグロ夫人はお手伝いさんに「困るわ、こんなもの置いちゃ」って、どう考えたって一女性にこんなものが運べるわけがない!そうでしょ、奥さん(笑)。そして夫人がイシグロ隊員を迎えに出かけた後、鉱石を不思議そうに見つめながら近づくお手伝いさんの背後に、人の手が忍び寄り、・・・郵便屋さんが小包を届けにきたのだが、人を驚かせただけで、何も言わずに去っていく・・・ありえない展開。この郵便屋さんを演じた方、「ウルトラQ」で口のきけない青年・五郎を演じた方ですね。ここでもまたセリフが少ない・・・。しかも小包には送り主が書いてないというオチまでついている。驚かされたお手伝いさんは後でイシグロ夫人にそれを渡すのだが、これまたサプライズ。一体これはびっくり箱なのでしょうか(笑)。


ところで、宇宙から帰還したイシグロ隊員の、ぎこちない笑顔はどことなく不気味だ。ここでまたひとつ耳慣れない言葉、「宇宙ステーションV3」とは・・・?地球防衛軍はやはりその名の通り、当然のごとく宇宙空間にも施設を置いていたというわけです。そして、帰還したイシグロを迎えるウルトラ警備隊の隊長以下、各隊員の厚いもてなしぶり。ダンのことも「ダン君」などと呼んでいる。地球防衛軍の中でも上位に位置するエリートということでしょうか。


何でもイシグロ夫人の車がエンコしたとかで、ダンはイシグロ夫妻をポインターで送るのだが、ダンはその庭にある鉱石の存在に気がつき、透視を試みる。わっ!!目が光った!怖ええ。ダンのウルトラセブンとしてのセンサーが働き、これを「チルソナイト」何とやらという、ワイアール星にあるものと断定。いかに恒点観測員であったとはいえ、宇宙に存在する無数の星の、1鉱石の名を瞬時に当ててしまう情報収集力と記憶力はまさしく「ウルトラ」です(笑)。


前回ダンに妙に関心を抱いていたアンヌは、早くもダンに夢中。ダンの行く先、いちいちついてきます。この話のラストでもそうです。そして、夜・・・天下の名脇役・大村千吉さんの登場です。見事なまでの酔っぱらいの名演技。そして襲われぶり。ウルトラセブン第2話にして恐怖シーンの連続です。不安感をかきたてるBGMもいいですね。ダンとアンヌはすかさず救助に・・・何というタイミングの良さ(笑)。実はこの2人、イシグロ隊員の車を届けに行った帰りだったのです。それも、なぜか歩きで??。まあ、歩いた方がたっぷり時間がとれますからね(笑)。メディカルセンターへ運ばれた男は、その場で何と先ほど襲われた植物状の怪物に姿を変えた。これが生物Xというワイアール星人なのです。つまり、地球人を皆、怪物化させてしまおうという、恐ろしい計画です。すかさずアンヌがパラライザーという、神経を麻痺させる銃で、怪物と化した男を撃つ!周りの隊員たち一同、「なぜ撃ったんだ?」と声を揃える。まさか、隊員でありながらパラライザーを知らなかったのでしょうか?それにしても、パラライザーを貸してと頼まれたダンまでがその声に加わっている・・・どうなってるの??まあ、それはそれで結構笑えてしまえる場面ではあります。


イシグロの部屋をノックする夫人、サスペンス効果満点の演出ですね。こういう場合まずベッドの下やクローゼットの中を調べるものですが・・・(ドラマの見過ぎ? 笑)。ひとつ疑問が・・・、作戦本部の見解ではワイアール星人の目的は地球侵略、そしてその手段は地球人の怪物化による強制的な支配。書籍を見ても概ねそんな見解だったと思います。ところがナレーションでは、怪物は「血に飢えて戻ってきた」と言っています。あれは吸血宇宙人だったのでしょうか?


小田急ロマンスカー、懐かしいですねえ。緑豊かな背景をバックに、その車中で実に恐ろしいことが起こります。怪物への変身シーンは適当にリアルで、適当に手を抜いているようでもあります。トンネルから逃げ出す乗客の中で、ひとり遅れた老人が何やら叫んでいるのが意味ありげで不気味です。


このお話では、夜の街をさまよい歩くワイアール星人が何といっても秀逸です。そして、それを取り巻く人間模様。勝手な空想ではありますが、イシグロ夫妻とお手伝いさんとの間の心理的確執も結構みどころだったりして・・・(笑)。警察に通報しようとするお手伝いさんは「絶対にいかん」と制止され、夫人からも「彼の言う通りにして」と言われ、小さくなって「ハイ」。


ところで、このワイアール星人、本当は何人来ていたのでしょう。それと、これはこの手のシリーズに共通する提言ですが、あえて巨大化する必要もなかったのでは、と私は思います。等身大でせっかく恐怖感を味わわせてくれたのに、巨大化するとどことなく間抜けに見えてしまって(スミマセン)、恐怖感は吹き飛んでしまいますね。そもそも等身大のときにはたいてい閉所で暗がりに出現するのに、巨大化すると明るく開放的な空間に放り出されるというパターンが多いです。ガッツ星人、ボーグ星人、バド星人、ゴドラ星人、などなど・・・。思うに、巨大化する宇宙人というのはおそらくバルタン星人あたりがルーツではないかと思いますが、バルタン星人の場合は「宇宙忍者」という役どころがしっかりと用意されていたのです。


この回初めてウルトラセブンは、人々の目にさらされることになったのではないかと思いますが、誰がつけたか知りませんが、「ウルトラセブン頑張ってェ〜」とか、「このセリフはウルトラセブンに言ってもらいたいな」など、なぜかもう、みんな知っています。脚本の都合だったのでしょうが、あるいは番組で紹介しきれていない活躍がまだあるという考えもできますが・・・。ここでもダンはラストで敵の策略を見事に暴いています。FBIも真っ青(笑)。


エンディングナレーションはウルトラQで聞いたような・・・。「明日の朝、目が覚めたらまず庭をご覧下さい」って、そうそう、「太陽ではなくバルンガ」っていうあのくだりですね。



侵略者

  ワイアール星人(生物X

侵略目的

  不明

侵略方法

  襲った人を同類化

侵略アイテム

 人間を同類にする特殊液、電子頭脳

防衛軍の対策

 市民の夜間外出禁止令


ウルトラセブン選集



「ウルトラセブン」全話のエピソード紹介や怪獣・宇宙人、メカの解説。ダンとアンヌの接点、などなど。宝島社「僕たちの好きな」シリーズのウルトラセブン版。