この第12話は欠番とされ、今後も日の目を見ることはないと思われる。私も幼少時、関連書籍に掲載された作品リストを見て、この話が欠番とされていることに違和感を覚えていたのだが、その理由については当時は知る由もなかった。単純に「存在しない」ものと思い、なぜこの番号を空けておくのだろう、という気持ちでもあった。
ところがこの作品は昭和42年12月17日にOAされており、その後1度再放送もされている。ところが、その3年後、子供向けの学習雑誌の付録についていた「怪獣カード」に、この話に登場する宇宙人の別名の表記が、特定の人たちの感情を冒涜する差別的な表現であったとして、それを見かけた父兄がその出版社に抗議し、さらにその事実が新聞報道されるなどして問題は拡大。他社の出版物でも同様の表記が見られたことから、以後この第12話を「欠番」として扱うことになり、「セブン」が再放送されることはあっても、この回は放送されることはなかった。当然ながらビデオ・DVDにもこの回は収録されていない。
あくまでも問題になったのは雑誌の「付録」であり、制作者とは直接この問題にはかかわりがない、とはいいきれない部分もあろう。この作品が放送された当時には、他のドラマや映画の中にも今では放送できない、あるいは音声を部分的に消去されてしまうような表現が多くみられたようだ。この12話も直接的な差別用語を使用しているわけではないし、差別をする意図もなかったこととは思うが、設定上問題を生じうることを覚悟するべき内容であったことは否めないであろう。
そこでひとつ疑問が生じうるのだが、本作をはじめかつてのドラマや映画、アニメなどにみられる差別的な表現について、テレビなど公共の電波で放送する機会があった場合には、それらの部分を音声消去したりして対応しているものの、ビデオ・DVDなどの「商品」ではそうした表現が含まれていることを明示したうえで、原作どおりの状態で販売しているようだ。不特定多数の人が視聴するテレビと、ビデオ等の商品では事情が異なるのはやむをえないとしても、ファンとしてはこうした「欠番」という処理によって永久に見ることができなくなってしまうことについては、どうにかならないものかとさえ思う。差別はあってはならないことだし、今後も差別的な表現を規制することに異論はない。しかし、少なくともそうして出来上がった作品を特定の人に商品として提供することについては、既述した表示を施すなどしたうえで、視聴の余地を残しておいても良かったのでは、とも思う。もっとも、これだけ注目を浴びたうえで公開すればかえって差別的な表現を助長することにもなりかねないので、今となっては危険きわまりないのだが・・・。怪奇大作戦第24話同様、待望するファンの多いことだけは、まぎれもない事実である。ちなみにこの話には、「ウルトラQ」「ウルトラマン」のヒロイン、桜井浩子さんが出演しているそうだけに、何とも残念だ。