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ウルトラセブン Classic World
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 ウルトラセブン解析
ウルトラセブン ストーリー紹介
第19話「プロジェクト・ブルー」


[ストーリー] 地球防御バリアを作るという「プロジェクト・ブルー」の遂行にあたるミヤベ博士は、妻のグレースの誕生日に久しぶりの休暇をとる。しかし、パーティーから帰ったグレースを待っていたのは計画の妨害を企てるバド星人の恐るべき罠であった。ミヤベ博士は監禁され執拗に秘密を聞き出される。豪邸にひとり残されるグレースの恐怖の体験が始まる。


ウルトラセブン ポイント寸評

一体この話はいつの時代の話なのでしょう。地球と月の間のバリアを破って隕石が飛来し、山火事が起きます。しかし、そんなことすら「小さなこと」としてウルトラ警備隊は取り合いません。フルハシは体がなまって力を持て余し気味です。隊長から「まるで動物園のクマ」とまで言われています(笑)。のんきな隊長は「事件がないのは平和の証拠」とすっかり落ち着いています。


その話の中でミヤベ博士の「地球防御バリア」などというものを開発しているそうです。「プロジェクト・ブルー」というその計画はどうやらとんでもない壮大な計画のようです。それができれば警備隊も解散?実はフルハシはリストラの恐怖におののいていたのか?(笑)


このプロジェクト・ブルー遂行者のミヤベ博士は奥さん・グレースのために貴重な休日をとったというのに、友人とのパーティーに出席なのだという(大丈夫なのか?)。このミヤベ博士、何となくハンフリー・ボガートに似ていると思いませんか?日本人離れした容姿はグレース夫人とお似合いというべきでしょうか。幼少時にこの作品を見たときにひときわ怖く感じたのは、このエキゾチックな2人のおかげでもあります(笑)。


ミヤベ博士は思いがけない一人きりの休日にゆっくりとした朝を迎える。ところが何だか様子が変だ。地下への不思議な階段ができている。こんな秘密基地のような階段があったら、男の子は誰だって降りてみたくなりますよね。興味津々に降りてみる博士・・・すると、案の定(こんなとき、必ずこうなります)入り口が閉まってしまい、押しても揺らしてもびくともしない。しかし、意を決したようにさらに下へ降りていく博士。まんまと敵の術中にはまり、捕らえられる。


敵の名はバド星人、間近で見ると何ともグロテスクで怖い顔だ。恐れ多くも「宇宙の帝王」と自ら語っている・・・。「帝王」らしく、自分たち以外の生物の存在を許さないなどとぬかしています。もちろん、標的は「プロジェクト・ブルー」の遂行にあたるミヤベ博士。何とか秘密をかぎ出そうとします。冒頭の円盤爆発は実はバド星人の円盤が爆発したものであって、すでに博士の計画は一部遂行されていることをわざわざ打ち明けるバド星人。

バド星人の執拗な作戦にも口を割らない博士に対して、「帝王」バド星人は姑息な手段に転じます。一人戻ってきたグレース夫人に対し、ミヤベ邸は幽霊屋敷のごとく恐怖の場と化します・・・。真っ暗な部屋、扉を開ける恐怖、そして暗がりで見ると何とも怖い宇宙人・・・。このあたりのサスペンス演出は今では定番の常套手段ですが、基本に忠実というか、腕のいい作家にかかればここまで見事な作品に仕上がるものだということを思い知らされます。今でこそ慣れましたが、小さい頃に見たときは本当に怖かったものです。いよいよグレースの危機、というときにダンとアンヌが到着、怖がらせた割に実にあっけなくやられる宇宙人。


ダンはセブンに変身すると、何と鏡に手を当てて、水面に手を当てるごとくゆっくりと中へ侵入。その能力もさることながら、どうしてこうすれば敵の居場所がわかると判断したのでしょう。うーん、「ミラクル」ウルトラセブン。ラストにも見られる鏡のシーンの撮影ぶりは、異空間のようで鮮やかなものです。


このお話のもうひとつの見所はなんといってもセブンとバド星人のプロレスまがいの格闘シーンです。何がおかしいって、これはもう、とにかく見てもらうしかないでしょう。バド星人の「宇宙の帝王」という称号も妙に含蓄があるように思えてきます。


恐怖あり、不思議シーンあり、お笑いあり(笑)のお話のラストはこれまた何ともいえない終わり方です。ダンがアンヌをこづいて「こいつゥ〜!」ですからね。さんざん味わった恐怖を帳消しにしてくれるような和やかなエンディングです。


侵略者

  バド星人(宇宙の帝王!)

侵略目的

  自分たち以外の生物を根絶やしにしたい!?

侵略方法

  ミヤベ博士を誘拐・監禁してプロジェクト・ブルーを妨害

侵略アイテム

  監禁用の秘密部屋 家に施したカラクリ 凶器攻撃?

防衛軍の対策

  特にないが、計画書さえ無事なら恐れるに足りず!


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円谷プロ「ウルトラセブン」のメイキング・ストーリーに新しい視点を導入し、綿密な取材と検証を重ねた労作。