[ストーリー]　望遠鏡で星を見るのが好きなフクシン君はある夜、大量の円盤群を見て驚き、ウルトラ警備隊に連絡するが、観測班の調べでは異常がみられず、相手にしてもらえない。しかしその後も円盤群は来襲する。さえない青年フクシンは自信がもてなくなってくるが、そこへ少年に化けた宇宙人、ペロリンガ星人が姿を現し、話しかけてくる・・・。

恐怖の物語から一転、のどかな癒し系のお話です。名匠・実相寺監督は奇を衒った展開が得意のようですが、今回はのんびりムード・・・随所に実相寺ワールドが展開されます。

夜、雑然と民家が林立する軒先でひとり天体望遠鏡で星を見るのに夢中の青年がいます。その名はフクシン君。見るからに人のよさそうな、でも何だか風采の上がらないマイペース男のようです。いわゆる「オタク」のはるかなる先駆けでしょうか。そこに突然意地悪をする隣のオヤジ、こちらは渡辺文雄さんが演じてます。この方、「ウルトラQ」でも、少年たちに嫌がらせをする「ひげおやじ」に扮していましたね。こういった役どころがよく合います（笑）。

フクシン君は徹夜で天体観測をしているため、会社では居眠りをして危険な目に遭い、上司からお叱りを受けます。そしてすっかり落ち込んで河原で寝そべっているところを一人の少年に話しかけられます。そしてフクシン君は愚痴を言ったり、ほのかな夢を語ってみたり・・・何だかすっかりホームドラマですね。「ウルトラセブン」じゃないみたい。

そしてまた夜、フクシン君が例によって望遠鏡で星を見入っていると・・・何と星に似た円盤群が！！あわててウルトラ警備隊に電話するフクシン君。警備隊では眠そうに夜勤をこなすソガが、円盤と聞いて目の色を変えます。フクシン君は緯度や経度も正確に報告しています、さすが天文マニア。ところが防衛軍の観測班では何らの異常も確認しておらず、錯覚として処理されてしまいます。

気の小さいフクシン君はまたしても落ち込んで河原で一休み。するとまた少年が・・・少年の前で自分が一番最初に発見したとささやかな自慢話をするフクシン君。隣家のオヤジ、ゲンさんとのひと悶着を経て、その夜またしてもフクシン君は円盤群を発見します。怪訝な目でいやいや望遠鏡をのぞくゲンさんの目にも確認され、ゲンさんは大騒ぎ！フクシン君は今度は写真をも撮ったものの、またしても警備隊では異常を認めません。ただ、出来上がった写真を見たダンとソガは、星がやけに多いことを気にかける。

すっかり落ち込んでいるフクシン君のところへまたも少年が・・・夢をかなえてあげると言われ、望遠鏡を売っているその子の家へ行く。そこで改めて望遠鏡をのぞくとまたしても円盤が！しかし、今度はそれにとどまらない。少年は何と宇宙人・ペロリンガ星人に変身する。そしてここから実相寺監督お得意の宇宙人との「未知との遭遇」が始まります。あのダンとメトロン星人との「ちゃぶ台会談」に続く、宇宙人とフクシン君とのやりとりは秀逸です。「狼少年」の話まで持ち出して自分たちの作戦を、友達と話すように語りかけてきます。星にカモフラージュした円盤群を再三襲来させて、もはや防衛軍に電話してもとりあってもらえません。

しかし、ここで何とかするのがダン＝ウルトラセブンです。先ほどのフクシン君の通報を録音したものを再現し、不審な点に気がつきます。さすが・・・！！正体をつきとめたウルトラ警備隊はペロリンガ星人の円盤群との格闘です。セブンもこのところ、宇宙空間などでやたらにはりきりすぎている感があります。こんなことだから最終回に力尽きてしまうのでしょうか（笑）。

事件は解決し、ポインターで送られて帰宅するフクシン君。ゲンさんはじめ、近所の人たちも皆フクシン君を見直します。町の英雄となったフクシン君を自慢げに語るゲンさん、下町の人間模様を実に巧みに表現しています。最後までホームドラマでしたね。まるで「寅さん」をみているよう。異色な展開が持ち味の実相寺ワールド、ここにあり、といったところです。

侵略者

　　ペロリンガ星人（サイケ宇宙人）

侵略目的

　　理由は不明・・・友好的にも見えるが

侵略方法

　　円盤群を星にカモフラージュして油断させて侵入

侵略アイテム

　　大量の円盤群　地球の童話に詳しい

防衛軍の対策

　　市民からの通報に大わらわ