[ストーリー] 地球の頭脳と呼ばれるユシマ博士の協力による防衛力強化計画を知ったヴィラ星人は、地球の時間を停止させてユシマ博士を洗脳して計画の妨害を図る。博士の不審な言動に疑問を抱いたダンは逆に博士からスパイの濡れ衣を着せられるが、その正体を察知して襲い掛かると隊員たちに独房に監禁されてしまう。絶対絶命のダンを尻目に、ヴィラ星人はユシマ博士を利用して妨害工作の実行にとりかかる。
今回は一種の心理サスペンスですね。ダンの宇宙人としての並はずれた能力があってこその葛藤が見られます。そしてその主役はユシマ博士こと山本耕一さん。冷静沈着、若いのに貫禄充分。ダンとの確執が注目です。
ところで、この話の時代設定はいつだかわかりませんが、南極に科学センターがあるのですね。そこから日本へ向かう旅客機にユシマ博士が搭乗。ユシマ博士はこの南極で研究に勤しんでいたらしいが、旅客機で来るというから南極に人も住んでいるようだ。一体、どんな時代なんだろう。ユシマ博士は機内で煙草を一服。今では見られない光景でしょう。そのとき、お茶の間のテレビの画面は静止して機内の時間が停止していることを示します。そう、何かが起こっているのです。しかし一斉に止まっているため、再び時が流れるときには当事者の誰もまったく気がついていない。
ユシマ博士が到着し、それを出迎えるウルトラ警備隊の面々。アンヌは「若いのねえ」と、まんざらでもなさそう。隊長と、ボディガードを務めるフルハシが博士に挨拶。フルハシは柄にもなく、重圧に感じているようだ。ダンはこのユシマ博士の年齢や実績、真の来訪目的まで知り尽くしている。なぜダンが知っているの?という感じだが、やはりダンは防衛軍の秘蔵っ子なのだろうか?
眠りにつくユシマ博士に対して再び時間を停止させる。隣室のボディガードのフルハシは居眠りからバランスを崩す最中だ。そしてテレビのモニターを通して命令をくだすヴィラ星人。「全宇宙の征服者」などとぬかしています。この後に登場する宇宙人の中には「いかなる戦いにも負けたことがない、無敵の」とか言う宇宙人もいましたが・・・。あと、どうでもいいけれど「宇宙の帝王」なんてのもいましたね。宇宙人といえども結局自分たちのことしか見ていないのだなあと、つくづく思います。エビやオウムにそう簡単に宇宙は征服できないでしょう。そうそう、このヴィラ星人もまたダンの正体を知っています。完全に宇宙の包囲網にかかっていますね(笑)。ところで、ユシマ博士の「ユシマダイオード」ってどこかのノーベル賞学者を明らかに意識していますね。
このあと実は何とも不可解なシーンがあります。ユシマ博士を車で送るダンが心中を披露する場面です。(この男、本当にユシマ博士なのだろうか?・・・しかし、なぜ、あんなことを言ったのだろうか。僕が宇宙人だということを知ってたのだろうか?・・・)「あんなこと」とはどんなことでしょう。これ以前では「私などをどうにかしようとする宇宙人がいますか」と訊くくだりがあるが、これではダンが案じるほどの発言ではない。編集の順序を間違えたか、あるいはカットされたとしか考えられない。一部の情報ではこの直前に博士が妙な夢をみたといって話す場面が脚本上用意されていたともいわれています。まあ、こういう編集上のミスを発見するのもファンの楽しみのひとつでもあるわけですが。
博士は早速開発した防衛力強化装置・ユシマダイオードをダンに設置させる。ところがこれを取り付けた瞬間、機器は異常をきたし、レーダーは故障した。そして、こともあろうにユシマ博士は皆の前でダンをスパイ呼ばわりする。しかしどう考えてもこれってダイオードの方がおかしいでしょ?なのに博士の発言は隊長や参謀までを信用させる。それほどのカリスマなのですねえ。
実はダンはスパイ疑惑の汚名を返上させようと、ユシマ博士の正体をつきとめにかかり、入室厳禁の状態で作業をするユシマ博士を透視することによって、見事に敵の行状を見破ります。ここがウルトラセブンとしてのダンの立場の難しいところです。なまじ特殊な能力があるために、真実を知りすぎてしまったために起こる、人との認識のすれ違い。とうとうダンは独房に監禁されてしまいます。第1話などで皆を信用させたダンの神通力も、博士の前にかかっては病人扱いされてしまいます。でも本当に博士を信じるのなら、隊長は「失礼しました」ではすまないはず・・・。それにしても、警備員もいる前で「見たぞ」と、自身の透視能力を打ち明ける発言をしてしまうダン。そしてあぶなくユシマ博士を殺してしまいそうに・・・本当にヒヤヒヤしますね。これまでのフルハシに化けたゴドラ星人、イシグロ隊員に化けたワイアール星人と違い、ユシマ博士は洗脳されただけで、本人なのです。
ところで、独房に入れられたダンはセブンに変身して格子を強引にこじ開けます。一体あとでどう弁明するつもりなのでしょう。「ウルトラセブンに助けられました」って?ダンの無実をセブンも知っていたとでも言うつもりだったのでしょうか。
この回もまた宇宙人に命令されたユシマ博士がホークを動かそうとしています。防衛軍の秘密基地もつねにモニターで監視されているようですね。これは非常事態だ、すぐにセキュリティの見直しを図らねば・・・。宇宙船団が撃墜され巨大化するヴィラ星人、あれだけ多くの宇宙船があるなら乗組員全員が巨大化すればいいのに・・・。
ラストで、すべては宇宙人の仕業だったということを誰がどうやって理解させたのでしょう。そんなことがわかるのはダンぐらいなもの(笑)。宇宙人が倒されたことはわかります。そしてユシマ博士が意識を失っていたことも・・・。ダンが宇宙人の謀略を説明していますが、あれっ!ダンはどうして無実と認定されたのでしょう?何だかキツネにつままれたようなラストですね。
侵略者
ヴィラ星人(宇宙エビ人間)
侵略目的
宇宙征服のため
侵略方法
時間を停止して博士を洗脳 防衛計画の妨害
侵略アイテム
時間を停止 洗脳 モニターで命令 宇宙船で総攻撃
防衛軍の対策
ユシマ博士の護衛と防衛計画実行